助動詞の種類と活用
1 助動詞とは?
 助動詞の定義は「接続する語に種々の意味を添える働きをする、活用する付属語」です。
また、たまにある助動詞を「文法的に説明せよ」といった問題が出題される事があります。そういう時は、「品詞意味活用形」を答えなければいけません。

(例) 「花咲かず」の「ず」について文法的に説明せよ。
A.打ち消し(意味)の助動詞(品詞)「ず」の終止形(活用形)

という風に答えればOKです。意味については次から説明していきます。

2 意味による分類で覚える
 授業では歌で、接続による分類で覚えましたが、あれは助動詞の数を確認するのに利用しましょう。ここでは、意味による分類で覚えてください。
意味 助動詞 意味(口語訳)
自発・可能
受身・尊敬
る・らる 自発「(自然と)〜れる」「〜せずにはいられない」
可能「〜できる」
受身「〜れる」「〜られる」
尊敬「〜れる」「〜られる」「〜なさる」「お〜になる」
使役・尊敬 す・さす・しむ 使役「〜せる」「〜させる」
尊敬「お〜になる」「〜なさる」
打消 打消「〜ない」
過去
けり
過去(直接経験した過去(経験回想))「〜た」
過去(間接的に知った過去(伝聞回想))「〜た」「〜たそうだ」
詠嘆(「けり」のみ)「〜たなぁ」「〜ことよ」
完了 つ・ぬ
たり・り
完了「〜た」「〜てしまった」 強意「きっと〜」「たしかに〜」
並列(「つ・ぬ」のみ)「〜たり〜たり」
完了「〜た」「〜てしまった」 存続「〜ている」「〜てある」
推量(未来) む・むず 推量「〜だろう」 意思「〜う」「〜よう」「〜つもりだ」
適当・勧誘「〜がよい」「〜てください」
仮定・婉曲「〜としたら」「〜ような」
推量(現在) らむ 現在推量「今頃は〜ているだろう」 
伝聞・婉曲「〜という」「〜そうだ」「〜ような」
現在の原因推量「(なぜ)〜たのだろう」「〜からだったのだろう」
推量(過去) けむ 過去推量「〜ただろう」「〜たのだろう」
過去の伝聞・婉曲「〜たとかいう」「〜たような」
過去の原因推量「(なぜ)〜たのだろう」「〜からだったのだろう」
推量 べし 可能「〜ことができる」
意志「〜う」「〜よう」「〜つもりだ」
推量「〜だろう」「〜そうだ」「〜ようだ」
義務「〜なければならない」
当然「〜はずだ」
命令「〜せよ」
適当・勧誘「〜がよい」
推量 まし 反実仮想「もし〜としたら〜だろうに」
躊躇いの意志「〜しようかしら」
実現不可能な希望「できれば〜ならよかったのに」
推量 らし 推定「〜らしい」「〜に違いない」
推量 めり 推定「(見たところ)〜ようだ」「〜と見える」
婉曲「〜ようだ」「〜ように思われる」
伝聞・推定 なり 伝聞「〜そうだ」「〜という」
推定「(聞いたところ)〜ようだ」
打消推量 打消推量「〜ないだろう」「〜まい」
打消意志「〜ないつもりだ」「〜まい」
打消推量 まじ 打消推量「〜ないだろう」「〜まい」
打消意志「〜ないつもりだ」「〜まい」
打消当然「〜はずがない」「〜ないに違いない」
不適当・禁止「〜ないのがよい」「〜てはならない」
不可能「〜できそうもない」
希望 たし・まほし 希望「〜たい」
断定 なり
たり
断定「〜だ」「〜である」 所在・存在「〜にいる」「〜にある」
断定「〜だ」「〜である」
比況 ごとし 比況「(まるで)〜ようだ」 例示「(例えば)〜ような」「〜など」

3 覚えておくと良いこと
 ・過去の助動詞「き」は、自分の体験を話すときに使う助動詞なので、主語は一人称(私)となります。

 ・過去の助動詞「けり」は、他人の体験を話すときに使う助動詞なので、主語は二人称または三人称(他人)となります。

 ・尊敬の助動詞「る・らる」「す・さす・しむ」は。有ると主語は高貴な人、無いと主語は高貴でない人となります。

 ・推定の助動詞「めり」は、目に見えるものに対して推定するときに使います。

 ・推定の助動詞「らむ」は、目に見えないものに対して推定するときに使います。現在推量です。

 ・推量の助動詞「けむ」は「らむ」の過去バージョンとでも思って下さい。

 ・推定の助動詞「なり」は、聴覚に基づいた推定をするときに使います。

 ・「たり」「り」はまず存続で訳してみましょう。

 「る・らる」の意味の判断法
4つの意味の違いは「る・らる」の前後に注目します。
(1)自発
前に「心情・知覚を表す語(思ふ・泣く等)」が出てきたら自発。
(2)可能
後ろに打消の「ず」等が出てきたらほとんど可能である。
(3)受身
「人笑は」って感じだったら受身。
(4)尊敬
「敬語の動詞(仰す等)」又は「官職名(帝・大納言等)」+[る・らる」だったら尊敬。

 ☆覚えよう
「つ・べし」「ぬ・べし」「て・む」「な・む」→強意
(「きっと〜だろう」「ぜひ〜しよう」と訳す)
「に+けり」「て+けり」→完了+過去
(「〜てしまった」と訳す)
「こそ〜め」「て+む」「な+む」→「む」が適当・勧誘の場合はこのパターンで出てくる事がほとんどです。
「む」の打消は「じ」、「む」を強めると「べし」になります。「べし」の打消は「まじ」です。

無変化「らし」の活用形の見分け方
係助詞「ぞ・なむ・や・か」があれば連体形
係助詞「こそ」があれば已然形
それ以外は終止形

打消「ず」について
連用形+ぬ・ね→完了 未然形+ぬ・ね→打消 で訳す。

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