係り結びの法則
係り結びの法則って?
  まず、「係助詞」について説明します。係助詞の定義は「色々な語に付いて、指示・強意・疑問・反語などの意味を添え、文の結び方に一定の言い方(活用形)を要求する助詞」のことです。ちょっと係助詞の分類を見て下さい。

@ぞ・なむ・や・か連体形で結ぶ
Aこそ已然形で結ぶ
Bは・も→主に終止形(命令形)で結ぶ

という風に分類できます。
 上の@とAの結び方のきまり、これを「係り結びの法則」といいます。

用例&解説
  さて、係り結びの法則は「係助詞(そ・なむ・や・か・こそ)が文中で用いられた場合、文末を特定の活用形で結ぶ」という事を学んだところで、早速詳しい解説に入ります。次に挙げるのは強意の係り結びです。

[原文]少し春ある心地す ←これに「こそ」を挿入!
―――→少し春ある心地こそすれ

さっき、係助詞の説明で「こそ」は已然形接続だという事を説明しました。今回の場合、「こそ」を挿入する事で「す」が已然形に変化し、「すれ」に変化しました。
 では次。

[原文]ただ波の白きのみ見ゆ ←これに「ぞ」を挿入!
―――→ただ波の白きのみ見ゆる

先ほどと同じように変化が見られます。「ぞ」は連体形接続なので「見ゆ」が連体形に変化しました。 さくさくいっちゃいましょう。

[原文]母宮なりけり ←これに「なむ」を挿入!
―――→母なむ宮なりける

これも連体形接続です。次。

[原文]@かかることする人あるべし ←これに「や」を挿入!
―――→かかることする人あるべし
[原文]Aほととぎす聞きたまへり ←これに「や」を挿入!
―――→ほととぎす聞きたまへ

今回は「や」のパターンです。「や」は連体形接続、ここまではOK。問題は、訳し方なんです。「や」には疑問反語の2つの意味があるんです。 @のパターンは、実は反語です。現代語訳にすると「こんな事をする人がいるだろうか、いや、いないだろう」となります。
ポイントは、「や+は=反語「〜だろうか、いや、〜ない」」と訳します。
Aのパターンは疑問です。現代語訳は「ほととぎす(の声)をお聞きになりましたか」となります。ポイントは、まず反語で考えてみて、合わなかったら疑問、という風に考えればよろしいのではないでしょうか。

[原文]@いづれの山天に近し ←これに「か」を挿入!
―――→いづれの山天に近き
[原文]A死なぬ薬も何にはせむ ←これに「か」を挿入!
―――→死なぬ薬も何に

「や」のパターンと一緒です。全く一緒。「や」が「か」に変わった、みたいな感じです。

特殊な用例
「もぞ」「もこそ」の訳し方
 係助詞「ぞ」や「こそ」に係助詞「も」が付いた「もぞ」「もこそ」は、悪い事を予想してそうなったらどうしよう、という不安や心配の気持ちを表します。
 「もぞ」「もこそ」の訳し方は「〜すると困る」「〜したら大変だ」「〜するといけない」という風に訳します。



「こそ」の逆接用法
 ってのがあります。これは、普通の「こそ」の用法だと対して現代語訳する必要は無いのですが、「こそ……已然形」の形で文が終止せずに、下の文に続いていく時には逆接の関係で続きます。例文を見てみましょう。

中垣こそあれ、ひとつ家のやうなれば、のぞみとてあづかれるなり。(土佐日記)
(隣の家との間に垣根はあるけれども、一つの家のようなので、(先方から)望んで預かったのだ。)

「けれども」って、逆接になってるでしょ?

覚えておくと良いこと
強意の強さの程度 なむ<ぞ<こそ

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