和歌の基礎知識*序詞
1 序詞とは?
 序詞は、「序論」の「序」の字がついているとおり、本論の前フリとして使われます。本論の出だしを助けるために、ある語句を導き出す役割をします。

 序詞には、次の三つの特徴があります。
@ 七音以上
A 口語訳をする
B 歌人の独創により表現は自由
「語を導き出す」という点では枕詞とよく似ていますが比較してみると違いが分かります。

 まず、@については、枕詞が[五音]と短いのに対して、序詞は[七音以上]と長いのです。また、枕詞は[五音]と制限されていますが、序詞は[七音以上]とあるだけで、長さの限度に決まりがないのも特徴です。

 Aについては、枕詞は[口語訳をしない]、序詞は[口語訳をする]の違いがあります。

 Bについては、枕詞はどの歌人も慣用的に[一定の]使い方をしますが、序詞は[独創的]で、同じ表現を他の歌人が使う事はありません。では、例題です。

あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の 
     ながながし夜を ひとりかも寝む
[枕詞]あしひきの…「山」を導く枕詞
[文法]か…疑問・反語の係助詞。この場合は疑問「〜か」   も…強調の係助詞(訳さなくてもよい)    む…推量の助動詞
[補注]しだり尾…垂れ下がった尾


 結論からいうと、この和歌の序詞は第一・二・三句「あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の」で、[@七音以上]の長さがあります。この序詞は、第四句の第四句の「ながながし」を導き、「山鳥の垂れ下がった尾(が長い、そのように)長い夜」と後ろへ続く前フリの役割を果たしています。このように、序詞は[A口語訳をする]ことになっています。

STEP1 序詞の有無の見当をつける
 おおむね前半に<事物・景色描写>が後半に<人物・心情描写>があり、一見したところ両者に関連性がないように見えるとき、序詞のある可能性が高いと予測して下さい。

STEP2 序詞の範囲を限定したうえで七音以上を確認する
 序詞の可能性があると見た場合は、どこからどこまでが序詞か範囲を限定します。<人物・心情描写>が本論だから、第五句からさかのぼって、どこから<人物・心情描写>が始まっているのかをおさえましょう。それ以外の<事物・景色描写>が序詞です。

STEP3 導き出された語句を見つける
 序詞の範囲に見当がついたら、導き出された語句を探します。一見無関係に見えた<序詞=事物・景色描写>と<本論=人物・心情描写>の唯一の接点を、本論の出だしあたりに探してください。

STEP4 つなぎの種類を見分ける
 導き出された語句に対して、序詞がどういう繋がり方をしているか、つなぎの種類に次の三つがあります。
A 比喩でつながる序詞
B 同音反復でつながる序詞
C 直後が掛詞でつながる序詞

最後に、倒置が使われている和歌には序詞はない

Page Top



br→
main_box