万葉集
万葉集とは?
 現存最古の歌集。長歌・短歌・旋頭歌などを合わせて約4500首ある。万葉仮名が用いられた。作者は貴族だけでなく、東歌・防人歌など庶民の歌も多く収めている。

あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る   (額田王)
(紫草の植えてある野を行き、一般の人の立ち入り禁止の野を行って、野の番人は見ないでしょうか、あなたが袖を振って私に合図するのを。)

近江の海 夕波千鳥 汝が鳴けば 心もしのに いにしへ思ほゆ(柿本人麻呂)
(近江の海(=琵琶湖)で夕暮れの波の上を飛ぶ千鳥よ。お前が鳴くと心もしみじみとして昔が思われる。)

み吉野の 象山のまの 木末には ここだも騒く 鳥の声かも   (山部赤人)
(み吉野の象山の山あいの梢には、こんなにもいっぱい鳴き騒ぐ鳥の声がすることだ。)

わが園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れくるかも   (大伴旅人)
(わが家の庭に梅の花が散る。天空の果てから、雪が流れてくるのだろうか。)

世の中を 憂しとやさしと 思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば
                                       (山上憶良)

(この世の中を思い通りにならなくて辛い、肩身が狭くて身も細るようで恥ずかしいと思っても、飛び立つことはできなかった。鳥ではないのだから。)

夏の野の 繁みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ
                                    (大伴坂上郎女)

(夏の野の丈高い草の茂みの中に、ひっそりと咲く姫百合のように、人知れぬ恋は苦しいものだ。)

君が行く 道の長手を 繰り畳ね 焼きほろぼさむ 天の火もがも
                                    (狭野弟上娘子)

(あなたが行く長い道のりを手繰り寄せ畳み込んで焼き滅ぼしてしまう天の火がほしい。)

多摩川に さらす手作り さらさらに なにそこの児の ここだかなしき   (東歌)

(多摩川にさらす手織りの布がさらさらしている。そのさらさらではないが、今更ながらどうしてこの娘がたいそういとおしいのか。)

父母が 頭かきなで 幸くあれて 言ひし言葉 忘れかねつる   (防人歌)
(父母が私の頭を撫でながら、「無事を祈る」と言った言葉が忘れられなかった。)

うらうらに
 照れる春日に ひばりあがり 心悲しも ひとりし思へば (大伴家持)
(うららかに照っている春の日の光のなかに、ひばりが空高く舞い上がり、私の心は悲しい事よ、独りもの思いにふけっていると。)


覚えておくと良いこと
詞書
枕詞
倒置表現
序詞
已然形+ば=「〜なので」(仮定条件)

Page Top



br→
main_box