運動の表し方
Point1 基礎事項
物体の運動の早い・遅いは平均の速度で見るととても分かり易い。

一般に平均の速さの公式は v=x/t で表される。

例えば、直線道路上を自動車が各時刻(t1,t2,t3...)に定点Oからの距離(x1,x2,x3...)の地点(A,B,C...)を通過したとき、この自動車のAB間の平均の速さは v=(x2-x1)/(t2-t1)=x/t (→単位時間当たりの平均移動距離=移動距離/要した時間)となる。

これが直線運動の基本的な考えの基となっている。

どの区間でも速さが一定の場合、その物体は 等速直線運動 をしている。

この運動の公式は v=x/t=一定 となっている。

また、移動距離は x=vt(vは一定) となるので、v=一定から、xはvを比例定数としてtに比例することがわかる。更に、物体は常に等しい速度で運動し続けているため、 等速度運動 とも呼ばれる。ちなみに、運動のv-tグラフを書いた場合、そのグラフの面積は 移動距離x の値を示す。

教科書P58の図9を見ると、曲線のグラフがある。x1に対するtの点をQ'とする。区間x1-x2での平均の速さは v=(x2-x1)/(t2-t1)=QP/PQ' となる。
これより v=Δx/Δtという式で表せることがわかる。また、平均の速さを更に細かく区切って求めていくと一定の値に近づく。この極限の速さを 瞬間の速さ という。ちなみにΔは変位を表す。

一般に「速度」というのは速さのみでとらえられがちだが、物理学的には「速さに向きをあわせたもの」が速度なのである。また、速度のように、大きさと向きをもつ量を一般に ベクトル という。一方、速さや温度、質量のように大きさだけで表される量を スカラー という。

A,Bの2物体が運動している時基準となる物体(観測者と表される事が多い)Aに対するBの速度を、Aに対するBの 相対速度 という。これは、Aから見たBの速度という意味。これを式で表すと vAB=vB-vA となる。コツは 相手-自分 だと言う事。


上の画像を例にしていうと、静水で速さV1の船が、流水の速さV2の川を横切って進むときの速度を考えると、はじめは点Oにあった船が船首を点Bに向けて進む。静水であれば船はOB上を進む。

しかし流水中では船は流されているため実際はOD間を進む。このとき、F1+F2=R。このODベクトル=Rベクトルを F1とF2合成ベクトル という。

一般に、合成速度Vベクトルはそれぞれの速度V1ベクトル、V2ベクトルを2辺とする(ここではPベクトルとF1ベクトルとF2ベクトル)平行四辺形の対角線として求められる。これを 平行四辺形の法則 という。

また、この1つの速度Rベクトルは、合成の手順の逆により、2方向の2つの速度に分解できる。このときの分解の方法は何通りもある。
     Rベクトル=F1ベクトル+F2ベクトル

Point2 例題
直線道路上を2台の自動車A,Bが走っている。Aの速さが15m/s,Bの速さが10m/sのとき、次の場合についてAに対するBの相対速度をそれぞれ求めよ。
(1)A,Bが同じ向きに走る場合
(2)A,Bが反対向きに走る場合

Point3 解答
Aの進む向きを正とすると、
(1)vAB=(+10)-(+15)=-5m/s     Aと反対向きに速さ5m/s
(2)vAB=(-10)-(+15)=-25m/s    Aと反対向きに速さ25m/s

Page Top



br→
main_box