直線運動の加速度
Point1 基礎事項
単位時間あたりの速度の変化の割合を 加速度 という。加速度も速度と同じように大きさと向きをもつベクトルである。
経過時間t2-t1に対する速度変化の割合aは
a=(V2-V1)/(t2-t1) となり、aを時刻t1からt2までの間の平均の加速度という。

教科書P63の図17を見てみる。
まず、V1の延長線をひき、t2との交点をHとおく。このとき、時刻t1とt2の間の平均の加速度aは a=(V2-V1)/(t2-t1)=QH/PH で、PQの傾きになる。

ここで時間間隔をもっと短く取り、t2をt1に近づけていくと、平均の加速度、すなわち直線PQの傾きは点Pにおける接線(PL)の傾きLH/PHに近づく。この値は時刻t1の 瞬間の加速度 と考えられる。これを時刻t1での加速度という。

瞬間の加速度を一般式で表すと、 a=ΔV/Δt と表せる。瞬間の加速度はその瞬間におけるv-tグラフの接線の傾きとなる。

x-t,v-t,a-tグラフにはそれぞれ次のような事がいえる。
x-t(変位-時間)グラフ…グラフの傾きが 速度 になる。
v-t(速度-時間)グラフ…グラフの傾きが 加速度 になる。
               グラフの面積が 変位 になる。
a-t(加速度-時間)グラフ…グラフの面積が 速度変化 になる。

一直線上を運動する物体の加速度が一定の場合の運動を 等加速度直線運動 という。この運動は、物体の速度が単位時間ごとにaづつ変化する直線運動である。

時刻t=0の時の物体の速度を 初速度 という。これはふつう、記号で Vo と表す。すると、等加速度直線運動の式が出来る。…V=at+Vo

初速度Vo,一定の加速度aで直線運動をする物体の時間tの間の変位xは、v-tグラフの面積に等しくなる。したがって、 変位x=台形の面積=1/2×(上底+下底)×高さ
                       =1/2(Vo+V)t


これに先ほどのV=at+Voという式を代入すると、次の式が得られる。
     x=1/2at2+Vot

更に、V=at+Voとx=1/2at2+Votからtを消去すると次の式が得られる。
     V2-Vo2=2ax

加速度が負になっても常に上の3式は成り立つ。変位や速度の向きが分からなくても正として公式を適用し、結果が負になればその値はマイナスである。

Point2 例題
一直線上を一定の加速度で進む物体が、点Aを速さ8m/sで右向きに通過したのち、点Aから6m離れた点Bを速さ4m/sで右向きに通過した。
(1)物体の加速度a[m/s2]を求めよ。

(2)物体が点Aから点Bまで移動するのに要する時間t0[s]を求めよ。

(3)物体が点Aから最も右方の地点へ到達するまでに要する時間t1[s]はいくらか。また その地点と点Aとの距離はいくらか。

(4)物体が点Aを通過してからふたたび戻ってくるまでに要する時間t2[s]はいくらか。また そのときの物体の速度はいくらか。

Point3 解答
(1)V2-Vo2=2axの公式に当てはめて、a=-4m/s2. よって,左向きに4m/s2

(2)V=at+Voの公式に当てはめて、t0=1s

(3)最も右方へ達した瞬間の速度は0であるから、V=at+Voよりt1=2s.
 このときの変位x1=1/2at12+Vot1=8m

(4)点Aに戻ってきたときの変位は0であるから、x=1/2at2+Votよりt2=4s.
 このときの速度V2=at2+Vo=-8m/s. よって左向きに8m/s.

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