力のモーメント
Point1 基礎事項
大きさはあるがいくら大きな力を加えても変形しない、理想的に堅い物体を 剛体 という。質点の場合は位置の移動だけが起こるのに対して、大きさのある物体に力がはたらくと、回転軸のまわりに 回転運動 が引き起こされることがある。

剛体にはたらく力を作用線上で移動させてもその効果は変わらない。

力のモーメント
     N=F×h   (符号;反時計回りを正とすると、時計回りは負)
単位はニュートンメートル(記号;N・m)

剛体にはたらく力のつりあいの条件
@すべての力の合力は0 F=F1+F2+F3+…=0
A任意の点のまわりの力のモーメントの和は0 N=N1+N2+N3+…=0

剛体にはたらく平行な2力の合力


2力を1対のものと考えて 偶力 という。偶力のモーメントは
     N=Fh1+Fh2=F(h1+h2)=Fh


重力の中心、すなわち各質点に作用する重力の合力の作用点を 重心 という。
重心の位置を求める式は、
2物体:x=(m+m)/(m+m
一般式:x=(m+m+…)/(m+m+…)


Point2 例題
一様な棒の中点Oを支点とし、図(1)、(2)、(3)のように棒の両側に力を加えた。棒の1目盛りは0.20mである。



(1)棒を水平に保つには棒の右端Bに重さ何Nのおもりをつるせばよいか。

(2)棒の右側を図の位置でばねはかりを用いてつり、棒を水平に保つ。はかりの目盛りは何Nを示すか。

(3)軽い糸の一端に重さW3[N]のおもりをつけ、滑車を経て他端を棒の右端に水平と30°の角度でつないだ。おもりの重さW3[N]の値を数値で示せ。


重さWの一様な棒ABを水平であらい床と鉛直でなめらかな壁の間に、水平からθの角をなすように立てかけた。ただし、重力は棒の中点にはたらき、棒と床の間の静止摩擦係数をμとする。

(1)棒が静止しているとき、棒の端Bが床から受ける抗力Rの大きさを求めよ。
(2)棒がすべりださないためには、tanθがいくら以上であればよいか。

Point3 解答
(1)N1=3.0×0.20×3=1.8(N・m)   N2=-W1×0.20×6=-1.2W1[N・m]
 回転しない条件より 1.8-1.2W1=0    ∴W1=1.5N

(2)N1=0.6+W2[N・m]   N2=-2.0(N・m)   0.6+W2-2.0=0   ∴W2=1.4N

(3)2.4-0.60W3=0   ∴W3=4.0N


(1)棒の長さを2aとする。
 力の水平・鉛直成分=0より   NA-F=0, W-NB=0
 点Bのまわりの力のモーメントの和=0より   W・acosθ−NA・2asinθ=0
 これらの式より   F=NA=W/2tanθ
 ∴R=√(F2+NB2)=W/2tanθ√(1+4tan2θ)

(2)F≦μNBより W/2tanθ≦μW   よって tanθ≧1/2μ

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